徒然読書感想記

管理人の読書覚書。基本的にネタバレなし。 好みは推理もの。 映画の感想もあり。 2010年livedoorBlogにお引っ越し。since200408

 三浦しをん

三浦しをん「風が強く吹いている」

三浦しをん「風が強く吹いている」2006/新潮社

 んもう泣きそうになりましたよ。箱根駅伝の話。

 寛政大に入学すると同時に学生ばかりのボロアパートに住むことになった走(かける)。
 寮母のごとく学生の世話を焼く、4年の清瀬には、ある野望があった。
 住人10人(洒落ではない)全員を巻き込んで、箱根駅伝に参加すること。
 彼の強権発動から、9ヶ月、彼らは一丸となって襷をつないでいく。

 駅伝やマラソンは大変人気がありますが、画的に大変地味でもあります。
 それを更に小説で読ませる! これはもう、筆力の勝利でしょう。
 選手の鼓動、息遣い、飛ぶように流れていく景色。
 キャラクターそれぞれのモノローグが、今まで努力してきた月日と相まって、感涙を誘うのです。ヤラレタ。

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三浦しをん「むかしのはなし」

三浦しをん「むかしのはなし」2005/幻冬舎

 ふと手にとって読んでみたんですが、良かったです! タイトルも秀逸。
 短編の連なりで長編を書く、オムニバス形式。
 それぞれ桃太郎とか、舌きり雀とか、花咲かじじいとか、一見それとはわからない形で(さらっと読むだけだと全然気付かない形で)日本昔話をベースにしています。「むかしのはなし」ってそれに引っ掛けているのか、思うのが先ず一つ。
 読みすすめているうちに、語り部は皆違う人物なのに、語り口に妙な共通点が浮かんできます。――それらは全て「記録されたもの」であること。
 とほぼ同時に、物語のなかで「重大発表」がなされます。
 ここでようやく、タイトルに込められた意味に気がつきました。ああ! 続きを読む
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